蒼海のヴァルキュリア
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1.製品概要
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ブランド : アナスタシア
ジャンル : 潜水艦戦ADV
発売日 : 2009年9月4日
原画 : やくり
シナリオ : 八雲意宇
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2.主要キャラ
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ADVなので省略.
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3.システム
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純粋なADVゲームは,システム面を評価する必要は無いと思っているので割愛.
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4.総評
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前作"蒼海の皇女たち"の外伝的立ち位置となる作品.
"蒼海の皇女たち"は要となる戦闘システムの不完全さから,続編の作成は怪しいと考えていた(前作のレビュー参照)のだが,戦闘パートを全カットして純粋なADVゲームとして発売されるというまさかの展開.
この自らのセールスポイントを切り捨てた方針には発売前から不安を感じていたのだが,残念ながら不安的中.
シナリオは途中ほぼ一本道.一般的なADVおける特定のヒロインを攻略する(陵辱する,またはハーレムを作る)という目的が無い.当然個別EDも無く,ストーリーと濡れ場を楽しむだけの作りになっている.
これはもうADVというよりサウンドノベルだ.まさかエウシュリーが紙芝居を作る日が来るとは思わなかった.
ヒロイン陣は前作とキャラが被らないように注意されているのだが,前作のヒロイン達がそれぞれのポジションにおける典型的なイメージを再現したようなキャラだったせいか,どいつもこいつも二級品臭い.ウルディアーナの補欠組み(噂だが)という設定を上手く表現できているのが救いか.
ゲーム性を捨てた分,シナリオとキャラで稼がなければいけないので,ヒロイン達のイマイチ感は非常に痛い.
シナリオもキツイ.
陵辱シーンを書く(見せる)のが作品のテーマとなっているのでしかたがないのかもかもしれないが,濡れ場に入る際の展開はゲームだからでは済まされないレベルの強引さ.
なにかと体を要求する男もそうだが,女性陣の悟りを開いているかのごとく無抵抗っぷりも緊張感を殺ぐ.戦闘中ですよ?
なにより驚いたのがラストシーン.苦難を乗り越えて無事祖国にたどり付いたところでEDが流れる.戦争に敗れた祖国での彼女達のその後を想像しながらスタッフロールを眺めていると,なんとそのままメニュー画面へ.
個別EDどころかまともなEDさえ用意されていないという放置プレイに愕然.
物語の核となる,極秘任務の内容と国家の思惑に関する設定は,他のエウシュリー作品よりもしっかりしており,幻燐や冥色でコレをやればいいのにと言いたくなる出来栄え.それだけにEDの不満は大きい.
ストーリーの軸自体は良かったのだから,いっそのこともっとボリュームを落として価格を4000円程度に抑えるか.1つの作品としてではなく,前作のファンブックとそのオマケとして発売されていれば,評価は違ったかもしれない.
この作品をプレイして"もうRPG以外は作らないでくれ"と思ったファンは多いだろうが,心配せずとも次は無い気がする.
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